私は以前、法人向けコンピューターの営業をしていました。営業と言っても私の仕事は既存ユーザに新しいコンピュータに買い替えてもらうという営業内容でした。
日頃から既存ユーザを訪問し改善点や不満点を聞き出し新機種の提案をするというのが日々の仕事でした。
買い替えのターゲットというリストがあり、購入から〇〇年経過したら案内強化をするというスタイルです。私と同じように既存ユーザを回る営業も数名いました。
ある時上司より、別の営業が難しい商談をするので同行してあげて欲しいとの連絡がありました。その当日のお昼に連絡があったので午後のアポイントはキャンセルせざるを得ない状態でした。
そしてその営業に同行して顧客先へ訪問。商談を開始しました。
しかし、その営業が「話だけでも聞いて欲しい」というアポイントの取り方をしていたので買い替える気は全くない様子。既存の顧客なので無理強いは出来ません。商品説明だけしてその日は帰る事にしました。
しかしその後に問題が発生しました。私が当日キャンセルした顧客に後日訪問した所、別のメーカーのコンピューターを導入する事にしたとの事。私がキャンセルした日に買い替えの相談をしたかったようでした。しかし当日のドタキャンです、信頼度が下がってしまったのだと思います。他のメーカーが頻繁に来て熱心に勧めてくれたからそちらにしてしまったと言われました。
もちろん、商談同行を指示したのは上司ですし、ドタキャンを指示したのも上司です。
このような商談の為に定期訪問をキャンセルしなければならないという事が日常的に行われていました。すぐお金になりそうな案件を優先するというスタイル。
顧客の中には10年以上お付き合いがあって何度も買い替えをしてくださった企業もありました。しかしそのような事を繰り返し信頼を失う事も多々ありました。
顧客との約束より売上優先。そんな会社で営業をしている事が恥ずかしくなりました。日常的に行われていた事に麻痺してしまい約束を守るという営業として基本的な事を守れず大失敗しまいましたが、この失敗は貴重な経験になりました。